2021.09.27

コンクリートの不思議な性質

投稿者まだ使える杵柄

今回は、コンクリートの不思議な?性質についてのお話です

コンクリートの性質の一つとして、スランプがあります。
良いコンクリート構造物を造るためには非常に重要なパラメーターで、柔らかすぎても、硬すぎてもうまくありません。

コンクリートは細骨材、粗骨材、水、セメント、混和剤を目的に合わせた配合で練り混ぜて作ります。これらすべての材料が、スランプに影響を及ぼします。

例えば水が多いとスランプが大きくなるのは想像がつきますが、砂が多くなったら(細骨材率を上げたら)どうでしょうか?

細粒分が多くなったらスランプが大きくなりそうな気がするのは私だけでしょうか?

スランプの現実と工場の設備能力

現実は逆になります。粘り気が出るので、却ってスランプが小さくなるのです。

また、粗骨材を大きくしたら(最大寸法20mm → 25mmなど)単位水量を増やさないと固くなってしまいそうな気がしますが、これも逆です。なんだか不思議じゃないですか?

(まとめ:砂を多くしたら水を増やす、砕石を大きくしたら水を減らす、となります。)

材料だけでなく、練り混ぜ方も影響してきます。特に練り混ぜる時間ですね。時間をかけてよーく混ぜた方がよさそうな気がしますが、時間が長すぎるとスランプが固くなってしまいます(その分強度は増加します)。

生コン工場では、工場の設備能力によって混練り時間を管理しています。

SECコンクリートについて

練り混ぜについて、1つご紹介いたします。SEC(Sand Enveloped with Cement)コンクリートというのがあります。砂の粒をセメントで包み込むという意味合いです。

通常は(砂 → セメント → 水、混和剤 → 砕石)のように練り混ぜながら順次投入し1回で練り混ぜますが、SECはこれを二回に分けて(砂 → セメント → 水 → 砕石)をよく混ぜてからそこへ(水、混和剤 → 砕石)のように追加しながら練り混ぜるというものです。こうすると、いわゆるセメントがダマにならず、均一に混ざるという理屈です。

このSEC生コンは、粘り気が強くなるので、吹付コンクリートのリバウンド量が減るという優れものです。当然、圧縮強度も増加します。

これは、私がトンネル工事に従事していた時に試験施工まで行いましたが、特許の関係で施工には至らなかったかった記憶があります。吹付コンクリートは、法面工事でも多く使われますので、材料ロス低減、環境対策にも寄与しますので機会があれば検討してみてはいかがでしょうか?

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