夜勤のジンクス
深夜作業は事故が起こりやすいと言われています。
20代前半の頃、夜間作業のある現場を担当していました。
深夜02:00から作業開始し、朝8:00に交代という流れ。
その日もミーティング後、現場を一回り点検したところで親方のもとへ。
「異常なさそうですね、朝まで頑張りましょうね~」そんな話をしていた時に、急に背後で「落ちた!!!」と大声が響きました。
声の方に向かうと、左肘を押さえ苦痛にゆがむ若い職員Aさんの姿が…。
雨上がりの現場で足を滑らせて落下したのでしょう。高さは4メートルほどありました。
腕が曲がり、おそらく骨折しています。
すぐさま上司に連絡をしましたが、深夜のため繋がらず、逃げ出したくない気持ちを抑えながら、事故対応マニュアルを思い返します。
親方に「現場はお任せします。私は病院に連れていきますので何かあれば連絡ください!」
と伝え、詰所で応急処置し、夜間緊急病院へ急行しました。
後部座席には狼狽したAさんが、「なんで俺、あんなことしちゃったんだ…」「親方に申し訳ない…」「会社クビになるかも…」と涙を流していました。
聞くと、本来二人一組ですべき作業を「一人前と認めてほしい」と一人で作業の 準備をしていたところの事故でした。「慣れ」により手順を破ってしまった事例です。
「大丈夫ですよ。クビになんてなりませんよ」と励まし、落ち着かせながら、車を走らせました。当然、私自身も動揺していましたが、「落ち着いて...冷静に...」と自分に言い聞かせていました。
病院で処置してもらった結果、3ヶ月の休業と診断されました。
私が現場に戻ったのが7:00、事情を聞いて早めに来ていた交代の人間から「よく耐えたな、お疲れさん」と言われた瞬間、緊張の糸が切れ、その場に座り込んでしまったことを今でも憶えています。