2021.04.09

検査官から学ぶ

投稿者東北地方 40代土木技術者

今も昔も、名物と呼ばれる検査官がいらっしゃいます。

30年近く前、汚水管入替工事の竣工検査にいらしたA検査官。

現場に着くなり挨拶も早々に、一人ですたすた歩き出しました。
急いで後をついて行きましたが、何やら様子がおかしい。

どうも施工区域の外側を見て、何かを確認しているようだ。と、突然、『はい。今日の検査は中止します』と。監督官も含め、一同ビックリ!

何か不備があったかと聞くと『ゴミが落ちてるんですよ。それもたくさん。』とおっしゃった。

見ると確かにゴミが落ちている。しかしそこは施工区域の外で検査対象の区域ではない…

しかしA検査官は『地域の協力があって工事を進め、完成させたという意識を施工者は持たないといけません。 しかし、この現場はそれが感じられません。ゴミの多さがその現れです。』と言いました。

その場では意味が分かりませんでしたし、深く考えもしませんでしたが、いま思えば、工事のために少なからず不便や不利益を被る近隣住民の方々への感謝の気持ちを地域貢献(ここではゴミ拾いや清掃)という形で表しなさい、と若手だった私にA検査官は伝えたかったのだと思います。

良いモノを造るだけでなく、建設業が地域にとってより有益な存在になるためには何を意識し、どんな取組みをするべきなのか、そんなことを学んだ検査の思い出です。

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